Mission

車いすでもあきらめない世界をつくる

難病や事故など様々な理由で車いす生活になると、多くの人が思うように動けなくなり、段々と消極的になってしまいます。やがてあきらめることに慣れてしまうと、その人らしさをも失われかねません。私たちは少しでもこの状況を変えるために活動しています。WheeLog!があるから車いすでも安心して行きたい場所に行ける、すなわち、WheeLog!が車いす利用者にとっての情報インフラとなることで、「車いすでもあきらめない世界」をつくることを私たちは目指しています。そして、誰もが何が起こったとしても自分の持っている力を発揮し生き抜ける社会を実現します。

車いすだから行けない?

遠位型ミオパチーという進行性の病気である私は子どもを産んでから車いす生活になりました。子育てをする中で毎年夏のシーズンになると息子を海に連れて行ってあげたいと思っていました。でも私は車いすだから行けないとあきらめていました。そんな状況が3年ほど続いたある日、車いすでも行けるビーチのバリアフリー情報をネット上で見つけました。そして、その情報のおかげで実際に息子と海に行くことができました。この時、車いすでもあきらめなくていい、情報があればいろんなところへ行けることを知りました。

バリアフリー情報を発信!

しかし当時はなかなかネット上でバリアフリー情報を見つけられませんでした。それなら自分がバリアフリー情報を発信しよう!と、車いすでお出かけした体験を2014年1月より動画で紹介し始めました。YouTubeチャンネルの車椅子ウォーカーです。車椅子ウォーカーを始めてたくさんの車いすユーザーの方から反響をいただきました。しかし、その一方で、一人だけの情報発信には限界があることも感じました。

みんなでつくるバリアフリーマップ

そこで、一人一人が情報の発信者となって、みんなでバリアフリー情報を共有できるアプリがつくれないかと考えました。このアイデアを2015年のGoogleインパクトチャレンジで発表したところ、グランプリを獲得し、Googleからアプリ開発のための支援を受けることができました。そして、2017年5月にみんなでつくるバリアフリーマップWheeLog!アプリをリリースしました。

車いすでもあきらめない世界の実現に向けて

バリアフリー情報があれば、移動に困難を抱える車いすユーザーも外出の機会が増え、社会と繋がりを持てます。社会と繋がることで、教育や就職、結婚など、その人の人生の可能性が広がります。 だからこそ、私たちは車いすユーザーが抱える外出への不安を少しでも解消し、外出を後押ししたい!との想いで、デジタル版バリアフリーマップ「WheeLog!」を開発しました。 WheeLog!は「みんなでつくるバリアフリーマップ」です。スマホで使え、車いすユーザーが必要な情報を、世界中のユーザー同士で共有できます。私たちはこのWheeLog!を世界最高のバリアフリーマップへと成長させ、世界中に届けたい!と思っています。

①情報で人生の選択肢を広げる

アプリ画面をタップしている

情報は人生の選択肢

情報は私たちの人生の選択肢を広げることができます。WheeLog!の活動をしていて、車いすユーザーが情報によって人生が大きく広がる瞬間を何度も見てきました。あるユーザーは、事故によって塞ぎ込んでしまっていたところ、WheeLog!の存在を知り、そこから一歩を踏み出せたそうです。WheeLog!を使い始めてからは、地方から東京にお出かけしたり、一人旅をしたりと、WheeLog!をお守りとしながら、人生を楽しんでいます。どんな状況になっても人生を楽しめる、そうした人生の可能性を広げ、応援していける世界をこれからもつくりたいです。

あなたの「行けた」が誰かの「行きたい」に!

「車いすになると助けられてばかり」 車いすユーザーは、さまざまな場面で人に助けてもらうことが多くあります。しかし、助けられてばかりだと、生きることに息苦しさを感じてしまいます。自分も誰かの役に立ちたい。そんな思いを抱きます。 あるときは誰かの情報に助けられ、またある時は誰かに情報を届けられる。そんな双方向に助け合い「幸せの循環」が生み出せる仕組みを作りたいと思い、活動を続けています。 WheeLog!を利用している車いすユーザーの方からは 「ほかの方の情報を見てお出かけするし、自分が共有した情報が同じように誰かのためになっていると思えるのがとても嬉しい」 との声をいただいています。このように誰かの行った場所が、誰かの行けた場所になる、情報で助け合う世界がWheeLog!では広がっています。

②すべての人の心の壁をなくす

バリアを知り、バリアを超える

WheeLog!では、街中で車いすを体験する街歩きイベントを実施しています。アプリ「WheeLog!」を使用し、健常者と車いすユーザーとともに、車いす体験・バリアフリー調査を通し、体験者に車いすの視点での街を見てもらいます。同時にミッションをグループで行うことで、車いすユーザーと健常者のコミュニケーションを図り、心のバリアフリーを目指します。楽しみながらバリアフリーの調査・情報の充実化を行っています。実際にイベントに参加した方から、以下のようなコメントをいただきました。「すごい狭くて、人気がありひっきりなしに人が入るようなお店でした。私は車椅子ユーザーでそういうところってまず絶対入らないし、絶対入れないと思っているし。お店や他の人にもいい顔されないって思い込んでいましたので、そういうところにお昼に行くって今まで想像したことがなかった。けれどお店の人がいいですよって言ってくれて、席をのけてくれて、入ることができました。結構衝撃的で入れないと思っていたことは、自分の心のバリアもそうだったんだなって。自分の思い込みも考え直す必要があるのかなって思わされたのが一番の驚きでした」。このように自分の心のバリアを乗り越えていけた方のコメントをいただくと、WheeLog!の活動を通して、少しずつ心の壁をなくしていけると確信します。

自分にできることで参加

私は、誰もがひとりも欠けることなく、その人だからこそできることが必ずあると信じています。開発当初から現在の2021年まで多くの活動を行うなかで、車いすユーザーだけでなく、健常者の方も積極的に活動し、協力してくださる仲間が増えていきました。アプリに情報を投稿してくださる方、イベントに参加してくださる方、運営に協力してくださる方、地域の活動でWheeLog!を活用してくださる方、毎月寄付をしてくださる方など、たくさんの方々とともに、WheeLog!は邁進してきました。新型コロナウイルスの影響もあり、WheeLog!も大変な影響を受けましたが、今この状況だからこそ何ができるのかをみんなで考えて活動に取り組んできました。そうしていく中で、このWheeLog!に関わってくださる方々は、車いすユーザー、健常者など関係なく、それぞれが自分にできることを、自分事として行なってくださっています。私は、そんな優しい気持ちでつくられたWheeLog!は『世界一あたたかい地図』だと確信しています。だからこそ、この地図を世界中に広めていきたいです。

③フラットな社会を世界に広げる

日本のバリアフリーは遅れている?

日本のバリアフリーは海外と比べて遅れている。そのように思っている方もいるかもしれません。しかし、日本のバリアフリーには優れている部分もたくさんあります。日本のバリアフリートイレは、公共施設だけでなく商業施設にも配備されていて、車いすユーザーが外に出かけられる環境が整えられています。こうした環境は、世界を見渡しても決して当たり前のものではありません。特に日本は重度な障害のある方でも外出できるように、大人用の大型ベッドを設置したり、人工肛門をつけている方のためのオストメイトを設置するなど、誰もが外に出られる機会を作れるように、ハード面や制度面を日々進化させています。

当事者の知恵を社会に反映

多くの人がスマートフォンを持ち、情報発信できる時代だからこそ、その「情報の質」が求められます。誰とでも繋がれる時代だからこそ、その「情報の信頼性」が問われます。WheeLog!のアプリには車いす当事者や、それを支える方々の「知恵」が詰まっています。そして、それらの「知恵」を国や自治体に伝える機会もあります。車いすユーザーの「知恵」を反映した政策を実施し、車いすでもあきらめない世界を築き上げていくことはできるはずです。今はまだ小さな取り組みかもしれませんが、これから必ず大きなうねりとなって社会に広がっていきます。そのために、これまでも、これからも、当事者の声を聞きながら、国や自治体と連携しながら、事業を一つ一つ真剣に進めていきます。

世界規模でバリアフリーをシェア

日本だけでなく、海外にも優れたバリアフリーがあります。海外のバリアフリーの好事例を日本のバリアリー政策につなげることもできます。そうしたそれぞれの国や地域が持つ、優れた面を共有し合い、それぞれの地域特性に合わせた「フラットな社会」を広げていきたいと思っています。2021年秋に開催されるドバイ万博2020で、WheeLog!は社会課題を解決するための団体の一つとして参加を予定しており、世界の方々にWheeLog!を紹介する機会があります。また、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の社会課題を解決するためのコミュニティに、日本唯一の団体として参画しています。日本におけるバリアフリーの取り組みを世界に発信して、広げていくことは夢物語ではありません。文化・習慣の異なる国においても「車いすでもあきらめない世界」は共通の課題であり、世界で取り組むべき社会課題であるとの認識です。そして、WheeLog!が進めている活動がその課題解決の糸口になると信じています。
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